大原合格者の会「大原アシスト」会報誌
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監査法人和田:私の場合、洋服に興味があって、まずアパレルの会社に入りました。洋服の世界で何か成し遂げてやろうと思ったのですが、日本中には洋服好きがいるわけですよね。自分のレベルではなかなか厳しいと感じました。27、8歳のときに、昔から数字が好きだったので、公認会計士の勉強をしてみようと思ったわけです。そして、この業界に入りました。Tax部門のメンバーには、私以外にも多方面に経歴を持つ方が多いです。いろいろなバックグラウンドを持ちながら、自由度をもとめて公認会計士になる方もいらっしゃいますよね。森:外から見ると、会計士は監査とか、できる仕事が決まっているイメージがあるので「かっちり」に見えるかもしれませんが、実は仕事の中身の自由度が高いので、意外とふわっとしていて、割と何でもやってしまいます。お客様の課題に対して柔軟な発想をする上で、良い意味での曖昧さや自由さは必要なのかもしれません。和田:とくにPwCは、フラットな組織で上下関係もあまりないし、パートナー、アソシエイトとも気軽に話せます。入ってみて良いギャップを感じました。森:私は20年、このフラットな環境とカルチャーで育ってきましたから、外の世界では大変かも、なんて心配しています。(笑)和田:プロフェッショナルな世界ですから、まずは成果を出すことが大事です。ただそれができれば、時間の使い方も自由だし、自分のペースで仕事ができます。和田:公認会計士の試験は、会計だけでなく、会社法、経営学、経済学など、勉強の範囲が多岐にわたります。つまり、財務や経営の基礎を網羅的に学ぶことになる。その分、活躍できるフィールドも広い。よく社会人は、ジェネラリストであるべきか、それともスペシャリストであるべきか、という選択を考えるわけですが、公認会計士の資格自体が、元来ジェネラル志向が強いわけです。その中でさらにスペシャリストとしての専門性も磨けます。森:だから、会計士としてフラットな組織に所属していることはとても重要。自分のやりたいことを言える環境があることで、将来の可能性がぐっと広がります。実際、会計士に決まった形はないんです。監査を追求する人もいれば、税務にのめり込む人、CFOになる人もいます。幅広い知識を使って、経営の道を極めることもできる。会計士は何にでもなれるんです。森:一方で、会計士の仕事は、話す仕事でもあると思うんです。Audit、すなわち監査ですけれど、その語源はAudioと同じAudireからくる。つまり「聞くこと」が基本だというんですね。私も思っていた以上に、この仕事はサービス業であると感じています。お客様とお話をすることが仕事だと言ってもいい。和田:お客様から「会社の課題はこれです」と提示されることがあります。しかし、よくよく聞いてみると、別の場所に問題が見つかることはよくある。そこをうまくヒアリングして、聞き出す、引き出す。話す力はすごく重要ですね。森:そこに、自分が持っている専門性を紐付けることで価値を生み出す。和田:私も前職のアパレル時代に接客をしましたが、いまその経験が役立っています。お客様との会話から、どんなスタイルを目指すのか引き出すわけですが、PwCの仕事によく似ていると思います。森:10年ぐらい前でしょうか、将来AIにとって代わられる職業ランキングが世界のニュースになりました。その上位に公認会計士がリストされていましたね。会計の本質を数字だと考えれば、AIに代わる部分があるかもしれない。でも、話を聞くことが本質であれば、例えばお医者さんをイメージするとわかりやすいかもしれませんが、決してAIがとって変わることができない。和田:税務に関していえば、例えば、申告書などを作る部分がフィーチャーされやすいわけですが、そこはAIが効率的にやってくれる。PwCでも早い段階から、自動化ツールやデジタル化に対応してきましたし、そういったプロセスのためのデジタル施策も提供しています。森:20年前はシステム開発に関わることが会計士の仕事になるとは思ってもみませんでした。会計士の仕事は「聞く」からはじまる。変わる時代にフレキシブルに対応し、変わることのない本質的な価値を見つめる仕事。新オフィスに移転し、新しい時代に向かうPwCの今を語ります。プロフェッショナルという名の自由。フラットな組織が生まれる理由。変化の激しい、いまという時代に会計を学ぶということ。仕事の本質は「聞くこと」かもしれない。課題を見つける、話す力、引き出す力。100年経ってもAIにはできない仕事。会計士は人間的でなくてはならない。INTERVIEW森 直子略歴国内外の銀行・証券会社を中心に監査業務を経験し、2010年から2年間、PwC米国法人ニューヨーク事務所に赴任。帰国後は経験を生かし、監査業務のみならず、金融規制対応、IFRS対応などの幅広いアドバイザリー業務に従事。未来の仕事でもある。パートナー、PwCあらた有限責任監査法人ならず、金融規制対応、IFRS対応などの幅広いアドバイザリー業務に従事。3

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